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たばにゃんがお喋り出来ることは知っているのだけれど、特に驚いたりはしません。
「ごちそーさまだじょ」
ペロリとお皿をキレイにして両手を合わせると、彼はニッコリと笑んで「はい、お粗末さまです」と返してくれます。
「今日は新しい住民が増えるんだじょ」
「へぇー!どんな人だい?」
たばにゃんのお話しに彼は身を乗り出して興味を示します。
「若い男の人だじょ。仲良しさんするんだじょ」
「そうだね、仲良しさん出来るといいね──ふむ、どんな部屋になるんだろうね?楽しみだ♪」
彼はニコニコとしてたばにゃんの使ったお皿と自分のマグカップを流し台でササッと洗って部屋へと戻りました。
たばにゃんはその後ろ姿をトテトテとついていきます。
彼の部屋は1階の西側1号室。
べージュ色の扉には[1号室☆本乃]と書かれています。
開いた扉からチラリと見えたお部屋の中はたくさんの本が壁際の棚や床の上……座椅子1つ分以外に所狭しと置かれています──読書家さんなのでしょうか。
たばにゃんは直ぐに出てくるであろう本乃さんを隙間から見詰めて待ちます。
ジャケットを羽織り、ちょっぴり大きめなショルダーバッグを提げた本乃さんが出てくると、また、トテトテと玄関まで一緒に歩きました。
「じゃ、夕飯はアジの干物を買ってくるから、瑞希さんに言っといてね」
「分かったじょ」
「いってきます」
「いってらっしゃいだじょ」
本乃さんは玄関扉を開けてお仕事に行きます。
朝日が差し込みとても眩しくて、たばにゃんは目を細めました。
パタンと閉まったところで、たばにゃんはくわぁ〜と1つ大きなアクビをします。
「次は誰が起きてくるのかな?」
ちっぽを揺らしてお家の中へ戻ります。
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