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5号室☆浅果好宗さま
「たばにゃん、おはよぉ」
と、頭上から眠そうな声が降ってきました。
振り向いて、はためくシーツの隙間から見上げてみます。
「良い天気だね。お洗濯ありがとう」
「浅果さん、おはよーだじょ」
「自分で洗いたい物があるんだけど、洗濯機は空いてるかな?」
「1個空いてるじょ」
お家の3階、木枠の四角い窓からニコニコ顔の男性が覗いていました。
挨拶を交わすとたばにゃんはトテトテトテトテと少し早歩きで籠を持ってお家へ戻ります。
「今日はお休み?」
「残念、10時半くらいには出掛けるよ」
洗濯物を持ってきた浅果さんとお話しをします。
ゴウンゴウンとお水の中で隠れんぼをする布たちを見詰めてからキッチンへ行きました。
「今日は新しい住民が来るんだじょ」
「へぇー、何時に来るんだい?」
たばにゃんは差し出されたコップを受け取りながらチラリと柱にかけてある大きな時計を見ました。
大きな針は1と2の間、小さな針は9の少し上にあります。
「お昼前って言ってたじょ」
「そうか。じゃぁ、今日は会えないかな」
コクコクとお水を飲んで、浅果さんと一緒にお洗濯を干しに行きます。
ハタハタと靡くシーツやタオル、Tシャツやズボン。
気持ちよさそうです。
近くの木🌳にもたれ掛かり、木陰で休憩をします。
ウトウトと仕掛けてはフルフルと頭を振って目を覚まします。
まだお仕事が残っているので寝るわけにはいけません。
気を緩めると直ぐにコロリと眠ってしまいそうになります。
「風も強くなくてホント、今日は気持ちいい日だなー。こんな日はここで本を読むのが1番だなー」
ググッとお空に向かって腕を伸ばし、浅果さんはフゥーと息を吐き出しました。
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