魔法少年は隠したい

魔法少年は秘密にしたい

～転校生の宮地くん～

　宮地くんはいつも窓の外ばかり見ている。どれくらい見ているかっていうと、空に穴が開いてしまいそうなくらい。なんだってそんなに空ばかり見ているのだろう。空にさくらんぼでも浮かんでいるのかな。いや、でもそんなわけないか。だって宮地くん、すっごく退屈そうなんだもん。
「桜井さん。どこ見てるの？授業中ですよ」
　担任の矢島先生に怒られてしまった。宮地くんだって前見てないのに。先生も宮地くんをほっといて。転校生だからって、みんな宮地くんをほっときすぎだよ。
　宮地くんが転校してきたのはつい先週のこと。私たちが四年生になって二週間目の水曜日。突然やってきた転校生に四年二組のみんなは最初こそ騒然としていたけれど、最近はもう誰も話しかけない。まあ、話しかけても宮地くんが冷たいのが悪いんだけど。絵里ちゃんはそこがクールでかっこいいっていうし、由香ちゃんはつまんないやつっていうけど、私はどっちも少し違う気がする。なんていうか、宮地くんはいつもつまんなさそうで、それでいてどこか……寂しそう？