魔法少年は隠したい

魔法少年は秘密にしたい

～放課後の学校へ～

　ちょっと遅くなっちゃった。家に帰って時計を確認すると、だいたい午後五時三十分。由香ちゃんちに行った後、近所の駄菓子屋のおばあちゃんのところで遊んでいたのだ。
　まずは洗面所で手洗いうがい。『毎日楽しく学校に行くためには、まず自分の健康管理をしっかりしましょう』と、お母さんに毎日言われている。そんなお母さんも、今日はお仕事でまだいない。よし、いつもなら行儀が悪いと怒られちゃうけど、今日の宿題は、お菓子を食べながらゆっくりやろう。ちょうどさっきもらったキャラメルもあることだしね。
　そんなことを考えウキウキ気分でランドセルを開く。ええと、確か今日の宿題は漢字ドリルと、計算ドリルと、プリントと……あれ、おかしいな。計算ドリルがない。学校において来ちゃったのかな。どうしよう、下校時間は過ぎちゃってるし、今から学校に行っても怒られちゃうよね。かといって、宿題をこのままやらなかったら明日みんなに笑われちゃうし……ああ！　こんなことになるなら寄り道なんてするんじゃなかった。
　外ではカラスがカァカァ鳴いている。どうしよう、どうしよう。
「やっぱり、取りに行こう」
　さっと行って、さっと帰る。そしたら誰にも見つからない。きっと由香ちゃんと絵里ちゃんならそうするよね。そうと決まれば即行動。あ、さくらんぼキャラメルは持っていこう。ママの見ていたドラマで見たことがある。せーしんあんてーざい、ってやつ。