魔法少年は忘れたい

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 含みを持たしたその言い方に、さらによくわからなくて首をかしげて宮地くんの方を見ると、なぜか宮地くんは私から目をそらしてこっちを見ない。よく見ると耳まで真っ赤になっている。  契約魔法と言えば、あのときの宮地くんはたしかに私のことを名前で呼んでくれていたのに、ここのところ私を呼ぶときは決まって「お前」。あのときの素直な宮地くんはいったいどこに行ったのか。  おばあちゃんは私たちの様子を見てホホホと笑って言葉を続けた。 「契約魔法を結んだとき、なぜか心がふわふわとしなかったかい? あれは契約魔法の副作用、つまりおまけみたいなものでね、結んだ二人が言ってしまえばラブラブになってしまう効果があるんだよ」  らぶ……? 私がさらに深く首をかしげるのと同時に宮地くんはゴホゴホとむせて咳き込んだ。 「ナホちゃんと坊ちゃんはまだ子供だったから、その効果はあんまりでなかったみたいだけどねぇ……ここまで言えば何となくわからないかい。本来、契約魔法ってのはねぇ、人同士で結ぶときは結婚する二人でしか結んじゃいけないんだよ」  け、結婚? 「い、言っておくが! 別に! そういうし、下心があって! お前と契約を結んだわけじゃないからな! 本当に知らなかったんだからな!」  宮地くんがさっきよりもさらに真っ赤になって大きな声でそう訴える。契約を結んでいたからこそ、知らなかったことはよくわかる。なんだか私まで顔が熱くなってきた。 「幸か不幸か、契約魔法は完全成功ではなかった様子。どうやら今確認した通り、魔法の知識は全てが共有されるわけではないみたいですし。そんなすぐに婚約確定とはならないでしょう。けれど坊ちゃんは魔法界の三大公爵家の一つ、パラディフィールド家のご子息。何かと身の回りに気を付けなくてはならない身。万が一はことがあってはならないと思い、ばあやからベル坊ちゃんに報告させていただきました」
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