魔法少年は忘れたい

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 好き勝手に恋もできないなんて、貴族も大変なんだな。……いや今回のは事故みたいなものでそういうつもりじゃないだろうけど。  少し落ち着いたのか、宮地くんは「はぁ……」と深くため息をついて何か言いたげににおばあちゃんを睨んだ。 「まあ、そんな顔をしないでください。契約魔法とはそれほど重要な魔法なのです。もし他の公爵家にこのことが知られれば…… 坊ちゃんならあとはお判りでしょう? それにベル坊ちゃんならナホちゃんの体質のこともよくわかることでしょう」 「それは……まあ、そうだけど……」  ベル坊ちゃんってたぶん宮地くんのお兄さんのことだよね。一体どんな人なんだろう。声を聴く限り、あんまり宮地くんと似ていないように感じたけれど。  宮地くんはまだ納得しかねるようだったけれど、また深いため息をついて話を続けた。 「とにかく、五月三日に向こうから迎えが来ることになった。どうせろくなことにならないが、もうこうなった以上俺にはどうにもできない。抗うだけ無駄だ。お前の親には三日ほど泊まりに行くとでも伝えておけ」  もはやすねたようにそう言うと、さらにまたため息をついた。よほど嫌なんだろうか。  ちょうど五月三日はゴールデンウイーク初日。学校も休みだし他に予定もなかったはず。友達と旅行に行くとでもいえば問題ないだろう。わかったと頷いて、オレンジジュースを一口。……酸っぱい。  私につられたのか宮地くんもオレンジジュースを一口飲んで、苦い顔をした。やっぱりこのオレンジジュース酸っぱいよね。宮地くんは苦い顔のまま話を進めた。 「本題は別だ。今日はアドフィー発生原因の調査のため情報整理をしたいと思ってお前を呼んだ。先に何か聞いておきたいことはあるか?」
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