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はいはい、と店先に出ていくおばあちゃん。私も気になって見に行くと、宮地くんも一緒についてきた。
外にいたのはやっぱり絵里ちゃん。長いクルクルの髪にいつも通りピンクのランドセルを背負っている。
「あら、あなたもいたのね」
絵里ちゃんが私に向かってクスクスと笑った。宮地くんもいたのに、絵里ちゃんはここが宮地くん家だと知ってたのかな。
「絵里ちゃんどうしたの? それに、土曜だってのにどうしてランドセル?」
「細かいことはいいじゃない。それよりおばあさん。私のぬいぐるみがどこに行ったか知らない?」
ぬいぐるみか。絵里ちゃんのぬいぐるみってどんなのだろう。おばあちゃんもピンとこなかったみたいで、「はて?」と首を傾げた。
「クマのぬいぐるみ、昨日から見当たらなくて。おばあさんなら色んな子供とお話してると思って、聞きに来たの」
駄菓子屋のおばあちゃんの元に遊びに来るのは当然ながら私だけではない。私や絵里ちゃん、それに由香ちゃんや近所の他の子供たちもよく遊びに来ている。その子供たちから何か無くしたぬいぐるみについて聞いていないか知りたいのだろう。
「うーん、絵里ちゃんのぬいぐるみについては聞いてないねぇ。同じようにクマのぬいぐるみをなくしたって言ってた子なら知っているけど……」
「おい、それって――」
そこで宮地くんが反応する。知っている子の話だろうか。
「へぇ、一体どんな子なの? 私にもその話教えてくれる?」
おばあちゃんは一度うーんと悩んだ後、「まあ別にいいでしょう」と言って話し始めた。
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