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前奏曲―プレリュード―
本書は皆様の応援のおかげでAmazon Kindleにて2021年2月5日に全文改稿の上、電子書籍化致しました!
本文は非公開となりますが、以下Kindle試し読みページを掲載させて頂きます。
――――――
尻餅をついてポカンとしているショウの手首に、触手のようにしゅるんと伸びた吊革が巻きついた。
「うわっ! え、なに……、ひぃぃ!」
車両の天井に、座席に、ギョロギョロと無数の紅い目玉が浮かび上がる。
「うわああ――――ッ!!」
ショウが悲鳴をあげた。
初めてショウが己を認識した。
いつも一方的に見ているだけだった視線がついに絡み合った。
【もっと……触れたい】
無数の吊革が触手のように伸びてショウの身体に巻きついた。
ヌルヌルとした粘液を出しながら、ショウの身体を弄り、乱れていたシャツを脱がせていく。
「うわぁ……! た、たすけてぇ……ッ」
ショウの薄茶色の瞳が恐怖に戦慄く。涙で頬が濡れる。
【ああ、もっと。もっと嗅ぎたい】
胸が苦しい。ドクンドクンと己の鼓動が耳鳴りのように聞こえる。
吊革がショウの腰のベルトを器用に引き抜いて、グレーのスラックスを乱暴に下ろした。
なんという光景だろう。ショウの中心は既に張り詰めていた。
じんわりとネイビーのボクサーパンツが濃い染みを作っている。
ああ、悦んでくれているのだ。
そう思うとカッと身体が熱くなり、Ⅹは腹ばいのまま強く拳を握りしめた。
Ⅹの衝動を体現するかのように、車両のドアに大きな口が現れ、ギザギザの白い歯がギシギシと歯軋りした。
「ひい!? や、やだあァア――――っ!」
それを見たショウは、ペタンと腰を抜かしたように座り込み、とうとうボロボロと涙を溢れさせた。
【ああ、なんて可愛いんだろう】
ドアの口から伸びた長い舌が、ショウの身体を丹念に舐め始めた。
べろべろ、じゅるじゅると音を立てて味わう。
【ああ、食べてしまいたい】
「や、や、ひぃ――ッ」
泣きじゃくるショウを吊革の触手で拘束し、ショウのボクサーパンツの上から屹立を長い舌で舐め回す。
「あん、あん……ッ、ひゃあ……ッ」
甘い嬌声。一度はフニャリと項垂れていたショウ自身が芯を持つ。
【可愛い……。なんて可愛いんだ】
「あ――っ、やら、……ひぁアア!」
ショウが可愛い声で啼いている。
今、ショウを悦ばせているのは他ならぬ己なのだ。
【ああ、この日をどんなに夢見たことか……!】
(ショウ……)
吊革は先を吸盤に変化させ、ショウの桃色の乳頭に吸いついた。
「んあっ、……ふぁッ、あ――ッ」
そして、もうひとつの吊革の先を蠢く触手に変えて、ショウの濡れた蕾をヌチヌチとノックし始める。
「……アッ、やら、……だめぇ……ッ」
ショウが甘い声をあげて身を捩る。
「焦らさないでぇ……ッ、あん、ナカに欲し……ッ」
(なんて淫乱なんだろう。ああ、可愛い。可愛い。ショウ!)
いつしかⅩと暴走する色欲はひとつとなり、ショウを求めていた。
Ⅹはどうしても己自身でショウを抱きたくて堪らなくなった。
(ああ、博士。何故私の身体から生殖器を除いたのですか……!)
もっと触りたい。抱きたい。
――――ショウのナカに挿入りたい!!
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