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◆◇◆
翌朝、昼過ぎになってようやく二人は町を出発した。到底起きられなかった。
結局あのあと二人で求め合ってバックで一回。抱き合って眠ろうとしたけれどおやすみのキスが本気になって擦り合わせて更に一回してしまい、落ちるように眠った。こんなに求めたのは初めてで、流石に少し恥ずかしかった。
遅い時間だからか乗り合い馬車には二人しかいない。何となく恥ずかしくて、リカルドは黙ったままになっている。
「あの、リカルド?」
「はい!」
「あっ! えっと……昨日、無理させてごめんね?」
あちらも恥ずかしそうに言ってくる。でもごめんねは違うと思う。すぐ隣にあるチェスターの肩に凭れ、指輪のはまる左手で彼の手を握った。
「二人で求めたんですよ」
「でも」
「気持ち良かったです。愛していますよ、チェスター」
「! 俺も、愛してるよリカルド」
「ふふっ」
今も少し腰が重怠いし、違和感もある。けれど気持ちはこんなにも軽く幸せだ。だから全然辛くない。
幸せな二人を連れて、馬車はゆっくりと王都へ向かっていった。
END
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