双翼の番 一瞬の閃光 第二章 パラレルに

1/1
前へ
/3ページ
次へ

双翼の番 一瞬の閃光 第二章 パラレルに

飛行機は上昇を続ける。 今日はどこまでいくのかしら? パラはいつもそういう事を教えてくれない。 顔に似合わず秘密主義なパラ。 雲間から、何かがキラキラと光る。 パラも何かを返している。 合同か。 雷電はその特性から合同を持ちかけられる事が多い。誰でも放電で敵を痺れさせて欲しいのだ。 私はなんでも受けてしまうパラのお人好しな所があまり好きでは無かった。 いいように使われているだけな気がした。 合同の時はいつも手を抜いていた。 何にもしなくても、獲物の半分は貰えるのだ。 それに手の内を見せたくないのもあった。 黒地に黄色いラインの機体が遠くから見えた。 バタフライエフェクト。 今日は光学迷彩を切っているのか。 私はバタフライエフェクトの二人が大嫌いだ。 暴力ばかり振るうラムダ。 そして儚げな美人のミュー。 パラはいつもミューを目で追っていた。 それが憎らしくて堪らなかった。 こんなに近くにいるのに、視線は私を通り過ぎて行く。 いつもラムダはミューに暴力を振るっていた。 些細な事で殴るラムダは嫌いだが、ミューが殴られるのは少しスッとした。 以前、ラムダがミューの髪の毛を掴み、引き摺って歩いていたのを見た時だ。 私は止めること無く、目を合わさないようにして通り過ぎた。 そんな私が大嫌いだった。 そして、そんな私にさせるミューが大嫌いだった。 猿の群れを見つける。 かなりの頭数が見えた。 群れは散り散りになり、岩山や砂地を欠け上がる。 雷電とバタフライエフェクトがパラレルに飛び、雷撃と爆撃を浴びせて行く。 雷電のソリッドイエローのボディとバタフライエフェクトの漆黒の翼がくるくる交互に舞い綺麗だ。 猿は泡を吹いて絶命した。 その目は大きくむき出し、あちらの方向を見ていた。 それでも二機は猿を狩るのを止めず、お互いの数を競っていた。 これは命を狩るゲームなのだ。 自分が生き残る為の。 猿は殲滅対象なのだ。 新たな進化を生まない為に殺さないといけない。 人間に近い存在などいらないとの事だった。 しかし、私は何故、猿が惨たらしく死ななければならないのか、心の底では理解出来なかった。 何かを殺すのはいつも怖い。 そして私は殺す度に何かを失っていった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加