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ようやく東京行きの飛行機に乗ったが、高根沢君の調子はまだ良くなさそうだった。私はフライトアテンダントにブランケットを頼み、彼の体調が良くないので気にかけてほしいと頼んだ。その金髪の女性は快く対応してくれ、高根沢君はまんざらでもない様子で休んでいた。
千秋からはまだ連絡が来ていなかった。もう一度メールを送って、私も休もうと目を閉じた。するとスマホのバイブが鳴ったので慌てて画面を見た。千秋からではなく、喜連川先生からのメールだった。嫌な予感がしたが、恐る恐る開いてみた。
『お疲れさまです。
こんなに大量に写真を送られても、
何から手を付けていいのか
さっぱりわかりません。
もう少しまとめてもらえますか
Yuriko Kitsuregawa』
――もう何なの、人の気も知らないで。
私はバッグからラップトップを取り出し、喜連川先生のメールと添付ファイルを確認した。
確かに高根沢君の送った画像は大量だった。出発前に先生が「できるだけ詳細に」と言ったからだろう。私はため息をついて、先生に返信した。
『申し訳ありませんでした。整理して送り直します』
そしてウルルの画像とコメントを整理し始めた。先生に送るものとは別のファイルを作り、いつでも検索できるように作り直した。
私がラップトップに向かっていると、眠っていた高根沢君が薄目を開けて私を見た。
「塩谷さん、まだやってるんすか」
「うん、調子どう?」
「はあなんとか。あのCAの人、美人だし」
「それはよかった」
早くけりをつけて、東京に着くまでに少し休みたい。空港から車で運転して帰らなければならないが、このままでは居眠り運転をしかねない。しかし、窓のカーテンから漏れる日差しは眩しくなり始めていた。
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