0人が本棚に入れています
本棚に追加
だいいちわ
「あれが…精鋭部隊の方達か…。」
「精鋭部隊が帰ってこられたぞ!」
民衆から歓声が聴こえてきた。
「私達、凄いチヤホヤされてるよね。」
女戦士としては珍しく物理魔法を巧みに扱うコマが嬉しそうに言った。
「命懸けで戦っているんだ。これくらいされて当然だろう」
リーダーとして精鋭部隊をまとめているテツが感情を表に出さずに口に出した。
「自分…こんなの初めてで…嬉しいです」
精鋭部隊に新人として入ったレンが、目に涙を浮かべ、感動しながら言った。
「ヒャヒャヒャ。忌々しき精鋭部隊め。これでも喰らえ!」
突然、歓声をあげる観衆の中から魔物が現れた。
「レン!危ない!」
「キャアア」
「うわあああ!」
普段なら躱せた攻撃であったが、突然の事で動揺したレンは、後ろに姿勢を崩した後、右腕に攻撃を受けた。
「何が…起こったんですか?」
「魔物め!ファイアーブラスト!」
「大丈夫か?レン」
「右腕に変な紋章ができてます」
レンの右腕に刻印が刻まれていた。
「取り敢えず、医者に観てもらおう」
医者の元へ直ぐに駆けつけた。
医者はこの街には数多くいて、その中で一番の名医に駆けつけた。
「なるほど。そんなことがあったのか。
これは…レン君。魔法を使ってみてくれないか?」
「ファイアーボール!」
「…ファイアーボール!」
「…ファイアーボール!」
「…魔法が出ません」
「まさか…こんな魔法が存在したとは。レン君は魔法が使えなくなっています。私では、治すことができません」
「そんな…」
レンは、視線を床に移した。
「僕、少し外を歩いてきます」
「レン…」
「今はそっとしておいてやろう」
主な攻撃手段が魔法であるこの世界において、魔法が使えなくなったことは、魔王軍と戦うことが不可能になったとも考えうる事であった。
「そんな浮かない顔をして、どうしたんだ?少年」
「だ…誰ですか?」
「私は、ソート。剣聖と呼ばれていてね」
レンは、馬車が通る騒音の中、今までの出来事を話した。
「なるほど。よかったら、私のところで剣術を学ばないか?」
ーーー10年後ーーー
「もういい。君は充分強くなった。もう、私から教える事は、とうに5年前になくなったよ。頼むから、冒険に行ってくれ」
「僕は、ここでならまだまだ強くなれる気がするんです」
「もう教えることはできない」
剣聖の下に伝書鳩が来た。
「ちょっとまってくれ。連絡が入った」
「…今すぐに最前線に向かうんだ!君がもとにいた部隊のメンバーが危ない!」
最初のコメントを投稿しよう!