2.夕立

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2.夕立

 あれは書店で働き始め3ヶ月が過ぎた頃のことだった。  その日休みだった僕は、デートする相手もいないため、勤務先ではない書店で時間を潰していた。  勤務先ではゆっくり本を吟味することができないからだ。  気になる本を二冊手に入れ、書店を出て歩き始めた時だった。  空が暗くなり始めたかと思うと、大嫌いな雷とともに夕立に打たれてしまった。  急いで雨宿り先を探し、店の軒先に身体を入れると隣に彼女がいたんだ。 「降られちゃったね。」  夏帆さんの方が先に気付きそんな風に声をかけてきた。  まるでドラマのような出会いに二人で少し笑った。
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