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夫と別に好きな人が出来た。
それは以前の私では考えられない事だっただろう。
相手は、趣味のSNSで出会った人だった。
どうしてそんなに好きなのだろう?そう思うと自分自身がわからなくなる事もある。
私は彼の奥さんからおはようの一瞬と、おやすみの少しの間をかすめ取っている。
家族の朝食とお弁当の支度をする時に、一度メッセージを送る。相手から帰ってくるのは「おはよう」だけ。
夜はお互いの家族が寝静まってからメッセージを送りあう。
本当にたわいのないメッセージだけれど、私の中でそれが励みになっていた。
ある時、彼が言った。
「会ってみないか?」と。
私は会いたい気持ちと会いたくない気持ちの間で揺れ動いた。
若くは無い。中年のおばさんなのだ。会ってしまったら幻滅されるかも知れないそう思うとなかなか会う事は出来ずにいた。
オリオン座流星群が降り注いだあの日、私はふと彼と会ってみたいと言う衝動に駆られた。
深夜二人で待ち合わせをして、公園のベンチの上で流れ星を見た。
満天の星空から零れ落ちる星達を無心になって見ていた。
どちらからとも無く手を握って、その握った手の体温が暖かかった。
ひとしきり流星群が終わった後、「おやすみなさい」と手を振って、彼は車に向かった。
私も「おやすみ」と笑顔で手を振った。
いつも私たちはこっそり逢瀬を重ねてる。
おはようとおやすみの間を行き来しながら。
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