三千年の眠りから醒めたもの

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「うわっはっはっはー」 "彼"はカオスフィールドの呪縛からとかれ、ついに三千年の眠りから目覚めた。 "知恵"は発達し、以前よりも人間の住みやすい世界。 そして物質世界は、情報世界に置き換わり、東京タワーのデジタル空間への移設がはじまっていた。 現実から情報へ。かつてあったものは情報空間で永遠に生きる。それはシンシンキエイのデジタル哲学者が提唱した理念に基づいて計画されたことだった。 彼は眠りながらも夢のアンテナで、"そのこと"を察知していた。 戦闘機、戦車、ドローン、兵器ロボ、バトルゴリラ。ありとあらゆる迎撃をかいくぐり彼は三橋諸島に設置されたサーバのデジタル鍵をこじあけサイバー空間に殴り込んだ。 「サイバー!サイバー!サイバー!」 「なんだあれは?」 彼のすがたは変貌していて、サイバー住人に威圧感を与えた。 「やべえ」 「合体ロボットを呼べ」 デジタル空間のある地点に待機していたロボット三体が飛び立つ。 「やべえ」 ロボットよりも巨大な彼。汽車とグライダーと漁船の形を模したロボットたちは合体を試みた。 コマンドは実行され、BGMが流れる。 テロリロリーン。 汽車とグライダーがタイミングよく合体した。しかし漁船は合体できなかった。 ドッキングする角度を間違え、汽車の左側面を先端で傷つけながら異空間へ飛んで行った。 「漁船ー!」 「やべえ」 彼はロボットにダメージを与えながら、建設中の東京タワーににじりよった。 東京タワーは恐怖し、真っ青に震え上がった。
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