三千年の眠りから醒めたもの

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東京タワーは、戦意喪失し命乞いをした。 「おねげえです。助けてください。お金ならありますから」 彼は聞く耳を持たなかった。しかし彼の気まぐれで東京タワーは破壊されなかった。 「フッ」 東京タワーが元気をなくしたサイバー世界は、エントロピーが減少してきた。 サイバー池袋、サイバー埼玉、サイバー仙台、サイバー札幌は一様にうなだれるばかりだった。 彼は気配を消したが、不吉な予感は降りかかる。 手島ユーゴーもその不吉な予感と戦う戦士の一人である。 「ユーゴー!」 「おー!」 そして晩餐会がはじまった。博多は今日も雨模様。 「フッ」 サイバー仙台はラーメンをすすりながら明日のことを憂う。 「どうしよう。またサイバー空間が荒らされたら……」 サイバー森林はそんなことより実体のあるものを大事にしろよとデジタル言語で吠えた。 「やう!やう!」 犬たちは残り物に群がり猫はゲームをしている。(ここではサイバー犬と犬は区別しない)
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