田舎

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田舎

 二か月前、おじいちゃんが死んだ。お母さんからそう聞いても、僕にとっては遠くの出来事のように感じられた。おじいちゃんが住んでたのは、僕が住んでるところからかなり離れた、お母さんの実家だ。新幹線に乗って、駅から三十分くらい車に乗って、ちょっと山を登って、やっと着く。年に一回、行くか行かないか。行かない年のほうが多かったと思う。だから、おじいちゃんが死んだと聞いても、正直、実感も悲しみも特になかった。  僕はいま、そのお母さんの実家に来ている。おじいちゃんの法事があるらしい。大人たちはその準備でみんな忙しくしている。何もすることのない僕はひとりぼっちになった。  ここははっきり言って田舎だ。僕が住んでるところなら、歩いてコンビニや駅に行けるし、ちょっと電車に乗ればゲーセンやショッピングモールで遊べる。でもここは違う。周りは田んぼと畑しかないし、どこへ行くにしても車が必要だから、僕だけで遊びにも行けない。だからひとりでやることといったら、一応持ってきた宿題をちょろっとやる、スマホで動画やマンガを見る、ゲームアプリで遊んだりする、この三つくらいだ。  でもひとりで暇をつぶすのにも限界がある。ここに来てからまだ二日しか経っていないというのに、動画もマンガもゲームも飽きてきた。通信制限もあるし。宿題はイマイチやる気が起きない。縁側で寝転がって、天井を見上げた。扇風機の風がぶぁーっと強くなっては弱くなるのを繰り返す。外ではミンミンゼミが暑さに負けじと鳴き声を張り上げていた。 「つまんねー……」 スマホをおなかの上に置いて、そう呟いた時だった。
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