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  ある日の朝、天気予報で雨が降ることを知った。前の夕立から梅雨がやってきたのだと知った。その日もまた、傘を持って家を出た。   大学の講義室の一番後ろから、似たような髪型の学生たちを見つめていた。皆々、机の下でスマホをいじっていた。   講義後、目の下をこすりながら外に出た。同じタイミングで雨が降り、僕は傘を開いた。   雨雲、アスファルト、コンクリート塀、電柱、傘、僕。そして段ボール。   獣の香りに鼻を鳴らして見下ろす。   それに傘をさして、夕立が過ぎるのを待っていた。
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