プロローグ

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プロローグ

「もう我慢できない!」 キラキラ輝く長く美しい艶髪を振り乱しながら叫ぶ少女がいる。 「姫さま。お気持ちは分かりますが、今のところ、まだ死者は出ておりませんので、少し落ち着いてください。」 初老の紳士が言う。 「落ち着いてなんていられないわ。我が国の民が、しかも若い娘が怖い目にあってるなんて許せない!じいも許せないでしょ!」 姫さまと呼ばれた少女の大きな深緑の瞳は、怒りでメラメラと燃えていた。頬は紅潮し、その美しさに目を奪われない者はいないはずだ。 じいと呼ばれた紳士は、困り顔で少女の様子を見守っている。 少女は、部屋の中をウロウロしながら、 「決めたわ。私、鬼の王に会いに行くわ。」
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