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子どもたちの乗っているのは、魔法の船でした。明るく輝く月の光をエネルギーに、夜の空をぐんぐん進んでいきます。
船の目的地は、空の国のちょうど反対側にある、遠い遠い空に浮かぶ、滝の流れる島でした。夜空に浮かぶ虹は、とても珍しく、その遠い遠い島でしか見ることができないのです。
空の国の子どもたちが夜空に浮かぶ虹を探しに行くことができるのは、ただ一度きり。7歳になる年の満月の夜だけです。7歳になる年の子どもたちを雲の船に乗せるのは、子どものすこやかな成長を願うための雲の国の伝統なのです。
けれど、遠い遠い島にたどり着いたからといって、必ず見られるわけではありません。夜空に浮かぶ虹は、とても気分屋で、気まぐれなので、姿を現さないこともしょっちゅうです。
だから空の国では、『夜空に浮かぶ虹を見ることができれば、しあわせになることができる』と、ずっとずっと昔から言い伝えられていました。
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