つきのにじ

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「あ、魚!」  船が空の国から離れて随分と進んだとき、デッキで夜空の海を見ていた子が、遠くのほうを指差しました。それを聞いた他の子どもたちが、ゾロゾロとデッキに集まってきます。 「ほら、あそこ!」  その声を合図に、流れ星の魚が大きくピョンと跳びはねました。  一匹だけではありません。船の周りにはいつのまにか、好奇心旺盛な魚たちがたくさん集まっていました。ふわふわ、ピョン、と、キラキラ光る魚たちが、風を弾いて跳びはねます。  子どもたちは身を乗り出して、跳びはねる魚の数を数えてみました。  ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……  魚たちはどんどん増えていき、数えるのには両手の指では全然足りません。子どもたちの笑い声を響かせながら、雲の船は夜空を進んでいきました。
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