つきのにじ

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 けれど、夜空の海はずっと穏やかなわけではありません。いつだって、嵐は突然やってくるのです。  流れ星の魚たちとお別れをしたあと、船の周りを真っ黒な雲が取り囲み始めました。少しずつ大きくなっていく黒雲は、月明りに照らされていた紺碧の夜空を真っ黒に染めていきます。  子どもたちを乗せた雲の船は、魔法の船ですが、嵐がくるとなると、暢気にはしていられません。  まもなくポツポツと雨が降り始め、すぐに激しい斜め降りの雨に変わりました。  真っ暗な空の海には荒波がたち、雲の船を揺らします。船に気付いた雷さまが、ゴロゴロ、ピカリと意地悪く脅かしてくるので、子どもたちは抱き合いながら、怖くて悲鳴をあげました。
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