つきのにじ

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 子どもたちの目の前には、もう、空に浮かぶ島が見えていました。島の真ん中には、大きな滝が流れています。  島の上には、大きな光の橋がかかっていて、白のような、銀色のような、不思議な色で輝いています。それは、夜空に浮かぶ虹でした。満月の光で生まれた、しあわせになれる虹でした。  雲の船が虹の(たもと)を通り抜けるとき、子どもたちは今まででいちばんやさしくて、今まででいちばんしあわせな気持ちになっていました。  子どもたちを乗せた船は、明るい満月の光を浴びながら、虹の下をゆっくりと進んでいきます。  船が虹を一周し終える頃、子どもたちはみんな、すっかり眠くなっていました。  それもそのはず、生まれて初めてお母さんのそばを離れて、空の国の反対側まで旅してきたのです。流れ星の魚を数え、夜の嵐に立ち向かい、夜空に浮かぶ虹を探して。  それは、とても楽しくて、とても勇気がいって、そして、とてもしあわせな旅でした。
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