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水茶屋の表に出ると、商家の若い男たちがわらわらと駆け寄ってきた。
淡路屋の手代たちである。
そのうちの一人がすっと寄ってきて、おゆふに手を差し出す。
「……それでは、松波様。
わっちらになにか判りなんしたら、伊作の親分さんに言付けしなんしゆえ」
おゆふはさように約束すると、手代の差し出した手を取った。
手代が兵馬に向かって、深々と頭を下げる。
兵馬よりも少し歳若いその男は、ほかの者と同じ揃いのお仕着せを纏っていたが……
おゆふが心配でついてきた「若旦那」に相違ないと、兵馬は思った。
「……あぁ、頼んだぜ」
兵馬はにやり、と笑って淡路屋の「若夫婦」を見送った。
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