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おやすみ
さやかのパパは、おだやかに話し始めました。
「さやか、お日さまに動物や植物が眠りにつくと、夜の女神さまは、パーティーの準備を始めるのさ」
「パーティー? わぁ、楽しそう! さかやも行きたいな」
さやかのパパは、優しくほほえみました。
「さやかも行けるさ。でもな、ひとつだけ守らなければいけない約束があるんだ」
「やくそく?」
パパはさやかの頭をなでながら、話しました。
「夜がきたら、ちゃんと寝ること。なぜならパーティーは、夢の中で始まるからさ。寝ない子には夜の女神さまのパーティーには参加できないんだ」
「じゃあ寝ない子は、夜の女神さまのパーティーに行けないし、女神さまに会うこともできないの?」
「そういうことだ。さやかはお利口さんだから、わかるよな?」
「うん、わかる! さやかね、ちゃんと寝るよ」
さやかはにっこりと笑い、ふとんの中にもぐりこみました。ようやく寝る気になった娘の姿に、さやかのパパとママもうれしそうです。
「さやか、ふとんをかけなおすわね」
「ちょっと待って!」
さやかはまた飛び起きました。ベッドから飛び降りると、走っていってしまいます。
「さやか……」
パパとママは、悲しそうにさやかの背中を見つめています。
しばらくして、さやかがうさぎのぬいぐるみを抱いて戻ってきました。
「さやかね、お友だちのうさちゃんといっしょに寝るの。夜の女神さまのパーティーに、ふたりでいくのよ!」
さやかはお友だちを連れに戻ったのでした。
さやかはうさちゃんを抱いたまま、うれしそうににふとんにもぐりこみました。パパとママも、ほほえんでいます。
やがてさやかは、すやすやと眠り始めました。となりにはお友だちのうさちゃんもいっしょに眠っています。
パパとママはおだやかにほほえみ、かわいい娘の寝顔を見守りました。
「おやすみ、さやか。夢の中で、夜の女神さまと楽しくね」
了
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