さやかは眠りたくない

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さやかは眠りたくない

「さやかちゃん、もう寝る時間よ。お部屋にいきましょう」  さやかのママがいいました。  けれどさやかは、ちっとも眠くありません。 「やだ、もっとあそびたい」  新しいお人形と仲良くなりたいし、絵本だって、うごきだす犬のおもちゃだってあります。さやかはもっとおきていたいのです。あそべるものは、たくさんあるのですから。 「どうして夜はくるの?」  夜にならなければ、もっとあそべるのに。さやかは思いました。  ママはさやかのあたまを優しくなでました。 「『夜の女神さま』が夜をつれてやってくるからよ」 「夜の女神さまって?」 「それはベッドで話しましょう」 「うんっ!」  さやかはママと手をつなぐと、ベッドへいそぎました。 「夜の女神さまというのはね」  ベットで横になったさやかに、ママは優しく語りはじめました。さやかの目は、きらきらとかがやいています。 「お日さまが一日のお仕事をおえるころになると、ゆっくりやってくるの。夜の女神さまは、美しくかがやく星のドレスを着てるのよ。頭のうえにはお月さまのかんむり、手には流れ星のステッキをたずさえてるの」 「夜の女神さまって大きいの?」 「ええ、とても大きいわ。夜の女神さまが星のドレスを軽くつまんで優雅にくるくると回ると、明るかった空が、星がかがやく夜空に変わっていくの。女神さまがお月さまのステッキをかかげると、お日さまも植物も動物も、眠りにつく夜が来たことを知るのよ」  さやかの頭の中には、お星さまのドレスを着た、大きな、大きな、女神さまが浮かんでいました。 「さやか、夜の女神さまを見たい! だから寝ない!!」
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