孤独な男

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孤独な男

レックスの話は、孤独な男の物語のようだ。 『男性はとてもはずかしがりやで、好きな女性に話しかけることも、近くに行くこともできません』  これのどこが本当に怖い話なのだろうと思いながら、単調で低音な語り口に優香の眠気が少しずつ増していく。 『男性は少しでも長く女性を見つめたくて、長く悩んだ末に、ひとつの結論にたどり着きました。それは、「守り人」になることでした』 「守り人……? 何を守るわけ? ん〜もう眠い……」 『男は好きな女性に安らぎを与え、全てから守ることにしたのです。そのためには、彼女のすぐ近くに行く必要がありました』  眠くて返事をすることもできなくなってきた優香は、レックスの話をぼんやりと聞いていた。 『男性は好きな女性が品質の良いベッドを探していることを知ると、知人の家具職人に頼み、特注のベッドを作ってもらいました。それはベッドの中に人がぎりぎり入れるだけの空洞を作ることでした』 「ベッドのなか……?」  すっかり眠くなってしまった優香は、話の意図がよくわからない。 『男性は服を脱いてベッドの中の空洞に潜り込み、女性が住む部屋に宅急便で送ってもらいました。「これが注文した特注のベッドね。なんて素敵なベッドなの!」高級なベッドに喜んだ彼女は、すぐに腰を降ろし、そのままごろんと横になりました。「最近のベッドは包み込むような安らぎを与えてくれるのね。おまけに腰を揉んでくれているような心地良さ。なんて気持ちがいいの……。守り人って名前のベッドなのね。気に入ったわ」女性は知りません。ベッドの中に何が潜んでいるのかを……』
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