さかなのみるゆめ

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それは突然訪れた。 急に心臓の鼓動がありえないくらい早くなったと思ったら、身体がかっと熱くなり、そして息が苦しくなった。 突然胸を抑えてかがみ込んだ僕に、驚いて駆け寄った智明の顔を今も忘れられない。 まだ成長途中とはいえアルファの智明の顔は整っていた。身体も大きくスポーツは万能で、とてもさわやかなイケメンだったんだ。だけど、その時の智明は僕に近づくと驚いたように鼻と口を手で覆い、僕を信じられないものを見るようにじっと見た。そしてその目から光が消えて行くのを、僕は本能的に感じた恐怖の中で見ていた。 オメガと診断されても、まるで他人事のように感じていた僕が悪かったんだ。 個人差があるとはいえ、中3ならいつ来てもおかしくない発情期(ヒート)だったのに、僕は全く想定していなかった。でも緊急抑制剤は持っていた。常に身につけておくようにと言われ、デニムのポケットに入れたあったんだ。でもその時の僕は初めての発情期で頭が真っ白になって、それが発情であることにすら気づいていなかった。あの、智明の顔を見るまでは・・・。 智明を見て自分が発情したことに気づいた時にはもう遅かった。 ポケットから抑制剤を出す間もなく飛びかかられ、床に押し倒されてしまったのだ。その時に智明から発せられた濃いフェロモンにのまれ、僕の発情はあっという間に加速した。そしてその後、僕の意識は飛んでしまった。 何が起こったのかも分からない。気づいたら僕は下着を下ろされ、智明のものを突っ込まれていた。その記憶も切れ切れで、どれだけの時間、どれだけの回数そうされていたのかは分からない。だから次に僕がちゃんと目を開けた時、そこは智明の家ではなく、病院のベッドの上だったことに酷く驚いたことを覚えている。 そこには両親しかおらず、智明も智明の親もいなかった。 母は目を覚ました僕を安心させようと笑ったけど失敗し、その目は真っ赤に腫れて涙で濡れていた。 その後、とても話すことが出来ない母は一度部屋を出ていき、父が冷静に僕の身に起きたことを話してくれた。
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