475人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
どのくらいの時間が経ったか分からなくなっていたけれど、ドアを叩く音に、萌香はびくりとした。
「萌ちゃん……開けるよ」
「はい……」
太一が来たということは、正人は帰ったようだと、少し息をついた。
「萌ちゃんが店出てから、すぐに若い男が来たよ。
背の高いイケメン。モテそうなタイプ。晴斗の父親かい?面影あったけど」
頷いた。
正人に間違いない。晴斗は萌香によく似ているけれど、正人の子供だと分かる雰囲気があった。
「そうです……私に気づいて……晴斗にも気づいたでしょうね。自分の子供とは分からなかったと思いますけど……離れてましたから」
でも、気づいた可能性はあると萌香は覚悟していた。そのことを知りたくて、追いかけてきたのかもしれない。
無関係でいたいから、責任を言うつもりはない。でも、二人は思わない再会をしてしまった。これからどうしたらいいか、萌香はとまどっていた。
最初のコメントを投稿しよう!