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まだ子供の萌香には、両親の会話で分からない部分もあるけど、二人とも、自分とはもう暮らしてくれないことは、なぜか理解できた。
(私のこと、誰も欲しくないんだ……)
涙が知らず溢れてきて、萌香は泣き声を抑えながら、静かにドアを閉めるとベッドに戻った。毛布にくるまって、小さくしゃくりあげていた。
その夜から間もなく、萌香は父親に話があると言われた。
「父さんたちは離婚……別々に生活することになった。
それで萌香には、ここを出て違う部屋で暮らしてもらうことになったから」
微かに残っていた期待を壊す言葉に、萌香は黙って頷くしかなかった。
大好きな祖母は世を去ったので、一緒に暮らすことができない。
幼稚園の入園式や卒園式。そして小学校の入学式は両親の代わりに祖母が来てくれた。
萌香の名前をつけてくれた、父方の祖母。萌香のたった一人の味方。祖母がいなくなった今、少女は本当に一人になってしまう。
「中学から新しいところだから、すぐに慣れるさ」
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