コーヒーカップ

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コーヒーカップ

鈴木にしては珍しく、俺の心理を解っていないらしい。 誰のせいでジェットコースター、楽しめなかったと思ってるんだよ。 「僕はメダル貰ったから、どこでもいいよー」 山村も俺の不満までは気付いてない様だ。 「…鈴木は、どこに行きたいんだよ?」 山村の希望で、ニューアトラクション。 俺の希望で、一応、ジェットコースター。 と、なると後は鈴木の希望も聞かないとな。 「コーヒーカップとメリーゴーランドは如何ですか?」 …なんか意外と、どっちもメルヘンだな。 「面白そう!僕、どっちも乗りたい!」 山村も今度は、喰い付いてきた。 「千夜くんは、どうします?」 山村が乗り気だから、鈴木も上機嫌だ。 仕方ねー、鈴木の希望に沿ってやるか。 「コーヒーカップからでいいんじゃねーか?」 俺は半ばやけになって言った。 「コーヒーカップの方が、確かにメリーゴーランドより近いですね。そうしましょう」 鈴木はパンフレットを懐にしまうと、山村と共に歩き出す。 俺も、仕方なく後に続いた。 コーヒーカップも並んでる列はあるが、ニューアトラクションやジェットコースター程じゃない。
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