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鈴木は、優しく山村にそう言うと、本当に持ってたメダルを首にかけてやる。
途端に泣き止む山村。
「わー!綺麗だねー!僕は生き延びたヒーローだい!」
獲ったのは鈴木だろうに、山村は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔のまま、胸を張った。
鈴木は、すかさずポケットティッシュを山村に差し出す。
「これ使って下さい。山村くん、格好良いですよ」
「グズッ!うん!…チーン!」
今泣いたカラスがもう笑った。
正直呆れたが、山村の奴…余程、そのメダルが欲しかったんだな。
景品がメダルってのが、いささか子供じみてるが。
山村がゴミ箱に、落としたソフトクリームと鼻を噛んだティッシュを捨てに行った間、俺は鈴木に咎められる。
「山村くんをあんなに泣かすなんて…千夜くんは何をしたんですか?」
「山村の事、苦手だって言っただけだ」
俺のその言葉に鈴木は呆れた様に深いため息をついた。
「山村くんが千夜くんを好きなのは、千夜くんも知っているでしょう?」
「だから、謝ったって。でも泣き止まねーから、どうしたもんかと思ってよ…」
「好意を持っている相手から、苦手だ。なんて言われたら、どう思うか解らない千夜くんじゃないでしょう?」
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