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俺の気の悪さにも気付かず、ナナミとやらは、鈴木の隣のモエとかいう女も紹介した。
「モエでーす!メガネのお兄さんはなんて言うんですか?」
「僕は鈴木航と言います」
「ワタルくん!ワタルくんって呼んで良いですか?」
てか、もう呼んでんし。
「あ、はい。構いませんが…」
「私は、エリ!弟くんは?」
さっきまで山村を抱きしめてた女は、山村の事を、俺か鈴木の弟だと思っているらしい。
てえか、苗字や呼び方で兄弟じゃないって、普通わかんだろ。
「ぼ、僕?山村凌で、保達と同じ学…」
「リョウちゃん!お兄さんと余り似てないねー、リョウちゃん!」
学年と言う前に、エリとか言う女に、再び抱きしめられて、山村は今にも卒倒しそうだ。
ナナミは懲りもせずに言う。
「なんでしたら、タモツくん達のメニューとシェアしません?」
「「あ!それ良いかも〜♡」」
「…あんた等、もう食い終わりそうじゃねーか」
「なんでしたら、待ってます!」
喰い下がるナナミに、俺は言った。
「あんた等なあ。パスタは出来たてが美味いんだろうが。冷めたら美味さも半減するだろ。料理を軽く見てんじゃねー」
山村もだろうが、料理を作る側の人間としては、いつも最高の出来で食ってもらいてーもんだ。
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