ランチ

5/10
前へ
/46ページ
次へ
俺の気の悪さにも気付かず、ナナミとやらは、鈴木の隣のモエとかいう女も紹介した。 「モエでーす!メガネのお兄さんはなんて言うんですか?」 「僕は鈴木航と言います」 「ワタルくん!ワタルくんって呼んで良いですか?」 てか、もう呼んでんし。 「あ、はい。構いませんが…」 「私は、エリ!弟くんは?」 さっきまで山村を抱きしめてた女は、山村の事を、俺か鈴木の弟だと思っているらしい。 てえか、苗字や呼び方で兄弟じゃないって、普通わかんだろ。 「ぼ、僕?山村凌で、保達と同じ学…」 「リョウちゃん!お兄さんと余り似てないねー、リョウちゃん!」 学年と言う前に、エリとか言う女に、再び抱きしめられて、山村は今にも卒倒しそうだ。 ナナミは懲りもせずに言う。 「なんでしたら、タモツくん達のメニューとシェアしません?」 「「あ!それ良いかも〜♡」」 「…あんた等、もう食い終わりそうじゃねーか」 「なんでしたら、待ってます!」 喰い下がるナナミに、俺は言った。 「あんた等なあ。パスタは出来たてが美味いんだろうが。冷めたら美味さも半減するだろ。料理を軽く見てんじゃねー」 山村もだろうが、料理を作る側の人間としては、いつも最高の出来で食ってもらいてーもんだ。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加