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その列の最後尾に俺等は並ぶ。
結構、長い行列だが、流石にさっきのニューアトラクション程ではなかった。
「日傘さしてる男なんざ見たことねーぜ」
「でもテレビでは、男性にも日傘をという声が上がってるって話ですよ」
「…」
流石に緊張してんのか、山村は俺と鈴木の、話に入って来ねー。
見ると、つむじしか見えねーが、心なしか身体が震えている様な…。
「山村、此処は遊園地だ。絶叫系は付き物だと俺は思うが、楽しめなかったら意味ねーだろ」
「千夜くんの言う通りです。何でしたら、出口の方で僕と待っていませんか?」
「俺も1人でも構わねーぜ」
だが、山村はピトッと俺に抱きついてきた。
「やだ。保と離れたくないもん」
離れるったって、せいぜい数分だろうに山村は本気で俺の好きなもんを好きになろうとしてるらしい。
「列が動きますよ。もうじき僕達の番です」
「そうだ。山村、離れろ。歩けねーだろうが」
「ゔゔ…保、冷たい」
山村がそう言いながら離れないので、後ろに並んでる奴から、咳ばらいを1つされる。
「済みません。…さ、山村くん。僕の手を握って。前に進みましょう」
ところが、山村は鈴木の言う通りにするどころか、俺の両足の上に自分の両足を乗せてきた。
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