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「山村、足、いてーだろうが」
「このまま歩いて、僕をジェットコースターまで連れてって」
「ったく、しょーがねーな」
流石に山村の言う通りに歩くには両足がいてーから、俺は不本意ながらも、奴をお姫様抱っこした。
無理矢理、どかすことも出来るが、又大泣きしたら目も当てられねーからな。
「良かったですね、山村くん」
「うん!これでもう怖くないよ!」
「言っとくが、このままじゃ乗れねーからな」
そう言って前に少しずつ進む事、しばらく。
ようやく俺等が乗れる番になった。
俺は山村を下ろす。
と、運悪く?、山村は1番前になった。
俺と鈴木が並んで2番目。
こういうのは1番前がおもしれーんだよな。
だが俺が山村と替わるか聞く前に、係員が「2列に並んで下さーい!」と言いながら、とっとと俺等をジェットコースターに乗せた。
「山村くん、止めるなら、今です!」
もう後がないのは、俺も解っていた。
だが山村は気丈にも首を振る。
「鈴木くん、有難う。でも、僕、保と一緒にいたいから」
俺が一番前が良かったのに、世の中、上手くいかねーもんだな。
とジェットコースターが少しずつ進み出した。
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