コーヒーカップ

3/5
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「あー!さっきの男達…名前、なんだっけー?」 そんな声が聞こえてきて、見ると運悪く、ナナミ共が隣のカップに座ってコーヒーカップに揺られている。 「しっ!聞こえるよ」 「良いよ、聞こえたって」 「リョウちゃーん!コッチのカップにおいでー!」 モエがナナミに言うが、ナナミは知らん顔だ。 エリはエリで山村に向かって両腕を伸ばしてくる。 「保ー、なんか怖い」 山村は、怯えた様にそう言うと、俺の近くに寄ってくる。 「寄るな、暑苦しい」 「千夜くん、山村くんの気持ちも察してあげて下さい!」 って言われてもなぁ。 俺はキャーキャー言いながらカップを回し始めたナナミ達をチラ見して、連中の度肝を抜かせてやろうかと思った。 「鈴木、山村。しっかり掴まってろ」 「?う、うん」 不思議そうにカップについてる、とってを両手で握り締める山村。 「千夜くん、まさかモエさん達に対抗する気ですか?相手は女性ですよ」 何かを察したらしい鈴木は俺を咎める様に、そう言うが、両手は既に、とってを握り締めている。 「だからこそ、バカにされたくねーだろ。俺等の真似は出来ないって見返してやろーぜ」
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!