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パレード
確かに風が良い具合に吹いている。
流石に建物の中程、涼しくはないが。
と、どういう訳か、人が集まりつつある。
「なんか人が増えてきてねーか?」
「おそらく、もうじきパレードが通るからでしょう」
「えっ!パレード?」
鈴木の方を見る山村は、顔色がまだ少し優れないが、目がキラキラと輝いている。
確かに此処は道も広いし、パレードが通ってもおかしくはない。
この暑い中、着ぐるみ着て通るのも大変だろうな。
「あれー?携帯何処にやったかなぁ」
パレードの動画を撮ろうと思っているのか、山村が懐やポケットの中をまさぐっている。
「山村くん、携帯失くしたんですか?」
鈴木が心配そうに聞くが…。
「あ!在ったあ!」
山村は次の瞬間、携帯を高々と取り出した。
正直、俺は呆れたが。
「見つかって良かったですね、山村くん」
鈴木の方は優しくそう言っただけだった。
と、丁度パレードが音楽を鳴らしながら先頭が俺等の目の前を通り始める。
と、今度は。
「あれー?動画って、どう撮るの?」
山村、動画の撮り方が解らない。
隣の鈴木が「此処を先ずは押してください」と教えてやってる。
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