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山村は画面に釘付けだ。
「それより、山村が見終わったら、メリーゴーランドに行くんだろ?」
「覚えていて下さったんですね、ありがとうございます」
確かコーヒーカップとメリーゴーランドは鈴木の希望だった筈だ。
意図せずパレードを見れたのは、ラッキーだったな。
「鈴木も動画欲しかったら、送るぜ」
「ありがとうございます、千夜くん」
そう言いながら自分の携帯を取り出す鈴木。
鈴木の奴、山村に教えてばかりでパレード、見れなかったみたいだしな。
俺は山村にしてやったように鈴木にも動画を送ってやる。
ケロケロケロと、鈴木の携帯からカエルの鳴き声の様な音が聞こえてくる。
「随分と変わった着信音だな」
「よく言われます。…来ました。後で、じっくり拝見させて頂きますね」
「ああ。山村、いつまで観てんだ。置いてくぞ」
「待ってー。後、3回!」
「そんなに待ってられるか」
「山村くん、動画なら家に帰ってからでも、観れますから…」
鈴木に優しく悟られ、山村は「うん」と言って頷くと、携帯を鈴木や俺と同じ様にしまう。
山村の奴、余程パレードが気に入ったみたいだな。
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