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山村を馬の乗り物に乗せてやった係員は完全に山村を小学生と間違えているな。
「ありがとう!おじさん」
「お、おじさん…」
山村の礼に軽くダメージを喰らった様な係員だったが、素早く持ち場へ戻った。
と、メルヘンチックな音楽と共に、メリーゴーランドが動き出した。
馬が低速で、ゆっくり進む中、俺はどう楽しもうか考えていた。
と、後ろから山村の声が聞こえてくる。
「保ー、待ってー。いつまでも保に追い付けないよう」
いつもなら、シカトするところだが、鈴木は楽しむ事が大事だと言っていたな。
俺は後ろを振り返った。
「山村!」
「保ー!」
いつまでも縮まらない2人の距離。
俺は山村の王子になりきって、馬から立ち上がり、山村の方へ片腕を伸ばした。
山村も片腕を俺の方へ伸ばす。
ところが。
「危ないんで、座って手すりにお掴まり下さい!」
係員に注意された。
仕方なく、言われた通りにするが、只、乗っているだけじゃ、やっぱ、物足りねーな。
前に乗っている鈴木は振り返ると言う。
「全く…何やってるんですか!千夜くん」
「楽しめって言ったのは鈴木だろ」
山村はお咎め無しなのは鈴木らしい。
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