初夢'22

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初夢'22

 きみにはいちじくをあげる。  彼女にそう囁いたのを私は聞いていた。彼が誘い出して、あの果樹園で、人目につかない場所で、ああして真黒い影になった彼が。彼女を。  いちじくを両手でやさしく潰すように。  愛のように。恋のように。  原初の罪の誘惑のように。  赤く絞り潰していた。 (20220105)
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