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僕の名前は大下香澄。
名前をみればわかるように、生物学上は女子だ。
ただ、僕の中身は完全に男子。
ここまではユウくんと同じなのだが…。
僕が好きなのは女性ではなく男性。
つまり、ガチゲイということになる。
表向きは女子が男子を好き、でいいわけで、
このままでいれば良かったのかもしれない。
でも、僕の中身はガチ男子。
女の子のまま男の子を愛するなんて、
天と地がひっくり返っても無理だった。
おまけに親が決めた婚約者が僕にはいて、
男子好きな僕的には問題はなかったけれど、
当然男の子である自分は、男の子として
愛することはできても、
女の子として彼の愛を受け入れることは
生理的に無理な話だったわけで…。
僕は田舎を飛び出して、
流れに流れてシエスタにたどり着き…
そこにいたユウくんに一目惚れしてしまった。
オーナーに泣きついて見習いバーテンダーとして
シエスタに勤務することを許されたのだが…
「大下くん。近いから」
一目惚れの相手であるユウくんには
やんわりと拒否られて、
ユウくんが中身はガチ男子で女子が好きなのだと
思い知らされた僕は…
「ユウくんが振り向いてくれるまで待ちます!」
と、宣言してしまった。
それを聞いたユウくんの
困ったような笑顔を見た僕は
完全にユウくんに心を奪われた形になり…
片想いのまま、今の毎日がある。
ユウくんはユウくんで絶賛片想い中で、
そんなユウくんを想い続ける自分は
なんと健気な男子なのだろう…と1人陶酔していた。
それを…あの「オカマ」に打ち砕かれた!
「バカね、香澄は。ユウくんは中身はガチで
ノーマル男子。ゲイのあんたを好きになるわけ
ないじゃないの!バカなの?あんた」
「それはオカマのたきちゃんも同じじゃん!」
「あんたにオカマ呼ばわりされる筋合いは
ないんだけど!?」
こうしてたきちゃんと毎回小競り合いになるのを
真剣に止めてくれるユウくんが
実は2人共好物なわけで…。
「あたしもだけど、香澄もたいがい変態だわね」
と、たきちゃんには変なところで認められている。
まあ…僕の片想いはおそらく実ることはない。
本当の愛に出会えるまでは
たきちゃんと共にユウくんを取り合うことで
どうにか生きていけるんだろたうな(笑)
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