ギャップにやられて

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「いっちょやってみますか」 「オッケー♪」    大会までの流れと練習内容などを話し合ったあと、兄とレッドさんはゲーミングチェアに腰を下ろした。  私はなぜか、サポートとコーチングをお願いされてしまった。    情報収集やスケジュール管理、試合の戦略や立ち回りのアドバイスなどなど。  コーチングなんてただの女子高生の私に出来るわけはないけど。  頼まれたら断れない性格を知っている兄に、うまく誘導された気がする。 「さすが実況してるだけあってハイスペックだな」  兄は感心しながら、持参したキーボードとマウスをPCに接続してヘッドホンを装着した。  レッドさんが言うには、お兄さんが就職して独立する前はふたりでよくゲームをしていたらしい。  今は忙しくて、なかなかお兄さんと会えないそうで。  時間を持て余したため、配信を始めることにしたらしい。  やっぱり、お金持ちは違うなあ。  あほらしい感想しか出てこない私は、兄とレッドさんの間に置かれた椅子に座った。  ちょっと、チェアに差がありすぎない?  一応背もたれはあるけど、キャスター付きのスツールは学習机に付いてくるやつを思い出させた。 「遊ぶな」  その場でくるくると回っていたら、兄に止められた。   「ニコちゃんは無邪気だね」 「えへへ」  レッドさんに微笑まれて、まんざらでもなくはない。  
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