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鮮やかな色
「アイツは東泉組に引き渡した。痛い目にはあわねぇだろうが借金のカタは自分でつけてもらう」
「はい」
みつきの父親を組員に任せた晋哉は、みつきとともに家に帰った。
東泉は殺すほうが面倒だと考えているため、死ぬことはないだろう。
「……あいつと一緒にいたいか?」
「え?」
言葉が少ないみつきに、晋哉が訊ねる。思ってもいなかった問いかけに、みつきは驚きをあらわにした。
「いえ、そんなふうに思っていません……ただ、青瀬さんに、心配をかけてしまいましたよね」
「……」
自分を不自由にさせていた父親に再会し、動揺した。母を重ねられ、あの撫でるような視線で見られていた日々を一瞬で思い出した。
しかし晋哉が怒ってくれた。この家にみつきを連れ帰ってくれた。
何食わぬ顔で現れた父親を見て、晋哉だって不快な思いをしただろうに。
「……不安なのはおまえだろ」
みつきのいじらしさに、自然と晋哉は手をのばす。
晋哉の腕の中、みつきは遅れてやってきた恐怖が溶けていくのを感じた。
「あ、ぁっ……っ」
晋哉に抱えられたまま、みつきは甘い声を吐き出す。
体に埋まったものを締め付け、自分からも腰を揺らした。
「んっ、青瀬さんっ」
「はぁっ」
下から大きく突き上げられ、びりびりと電流が走った。
思わず晋哉の首にしがみつく。薄く目を開くと、晋哉の背にある彫り物の龍が見える。薄暗い部屋でも、それは鮮やかに見えた。
「……この前は名前で呼んでただろ」
「え? っ、あ、あぁっ」
晋哉の言葉に、まさか、と思う。あの時はいっぱいいっぱいで自分が何を口にしたかもわかっていなかった。
晋哉を名前で呼んでいたことを知り、みつきの顔がいっきに熱を持つ。
「みつき」
「っ、んんっ」
下で腰を動かしながら、晋哉はみつきを見る。
その視線に促されて、みつきは顔を染めながらも晋哉を呼んだ。
「晋哉さん……っ、あ、んんっ」
「上出来だ」
「あ、あっ、はげしっ」
満足した晋哉がいっそう激しく突き上げる。
みつきの口からは、途切れることなく吐息がもれた。
「ん、しんやさんっ、も、だめ、ですっ」
きゅうきゅうと締め付ける中を、晋哉は追い込むかのように擦りつける。
体に広がる甘い痺れに耐えていたみつきだったが、深いところをずん、と突かれ、ついに熱を手放した。
「あっ、あ、あぁっ」
「そのままだ、みつき」
「え、やっ、まって……んぅっ、あっ」
達しているみつきの中を緩やかな動きで晋哉は突く。限界を超えてもなおもたらされる快感に、みつきは強く晋哉にしがみついた。
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