A&B

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 その日は賑やかな声が響き、多くの笑い声に溢れていた。  年に一度しかないお祭りとなれば学生たちは気合を入れて臨むもの。特にその年はイベントが好きな生徒たちが多いのか、大いに盛り上がっていた。  学祭の出し物としては王道の模擬店は香ばしい匂いを流し、それに人々が群がっている。幸運なことに天気にも恵まれ、野外ステージもバンドやダンスなどそれぞれが練習した成果を発表している。  廊下は派手に装飾された展示。体育館の中では演劇やパフォーマンス。一人一人が高揚した気分で過ごしていた。  騒がしすぎて苦情が来るんじゃないか、と私は心配になるほどだった。やたらテンションが高くみんなはしゃいでいる。  私のクラスは大型迷路を作成した。なかなか手を込んだもので、入ったら簡単には出られないという口コミが出回り人が多く集まってきている。この日のために遅くまで準備をし、クラスみんなで協力し合ったのだ。やはり努力して作り上げたものが誰かに喜ばれるというのは最高に嬉しい。  本番のみ身につけることになっていたクラスTシャツは赤色だった。巨大迷路の文字がしっかり印字されている。他のクラスは色も違って、大変カラフルな状況になっていた。
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