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美里と一緒に模擬店で食べ歩きをする。こういう時は何てったって味じゃない、この雰囲気がとことん食べ物を美味しくさせるのだ。私は唐揚げとミニ焼きそばを購入し楽しく食した。美里も幸せそうに舌鼓を打つ。
いくらか食べてお腹が膨れてしまった私はふうと息をついた。隣の美里がいう。
「ねね、今度じゃがバター食べたい!!」
「え? ううん、私はもうお腹いっぱいだよ。美里行っておいで」
お腹をさすりながら笑う。てっきり、「はい行ってきまーす」だなんて声が返ってくると思っていたのだが、彼女は突然真面目な声を出した。
「最近陽菜、食欲落ちてるもんね」
ドキンと心が鳴る。美里の顔を見てみると、真剣な面持ちで私を見つめていた。私は話を逸らすように笑ってとぼけた。
「は、はは。夏バテかなー学祭の準備で忙しかったし」
「私陽菜とは何でも言える友達だと思ってたけど、待ってても全然何も教えてくれないんだね」
美里が一体何について話しているのか、見当がつかないわけがなかった。
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