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神崎はあの廊下で話したのが最後、全く言葉を交わすことはなくなった。学祭の準備で多少伝達事項などはあったけど、それだけだ。席も隣じゃなくなってしまって、挨拶すら交わすタイミングはなかった。
これでよかった。あれ以降予知夢を見ることはピタッと止んだし、おそらく神崎が死ぬ運命は免れたのだ。やっぱり彼は私に告白をすると死ぬ運命だったらしい。一体なぜそんな限定的な運命なのだ、と神様を責めたいが、そんなこともできやしない。
安心すると共に絶望と喪失感で食欲はなくなった。私は神崎を振ったけど、気分としては振られたようなもんだ。大失恋。
あんな意味のわからない予知さけなければ、今頃大好きな人の隣で笑っていられたのかと思うと胸が苦しくて死んでしまいたくなった。
「ま、いいけどさ。神崎も明らかに無理矢理明るく振る舞ってるし見てられなくてあんたたち」
「…………」
ちょっと美里の言葉に棘があるのは気のせいじゃないだろう。彼女の立場からすればそりゃ苛立ちもする。私は何も言い返せなかった。
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