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頭を掻いて言った。そう、先ほど私に声をかけてくれた三嶋くんは、学年でも有名なかっこいい男子だ。私ですら顔と噂は知っているくらい。そんな人がなんでまた、私なんかに声をかけてきたんだろう?
そしてこの声かけは不思議なことにこの一回だけではなかった。クラスの男子だったり、違うクラスの男子だったりにやたら校庭に誘われる。その全ての人はどうみても私に好意なんて抱いていないだろ、というような人々ばかりなのだ。突然のモテ期というには不可解すぎた。
私は首を傾げながら言った。
「どうみてもモテてるって感じじゃないよ、なんで突然話しかけてきたのか全然わかんない。しかもみんな、ちょっと校庭に行ってみたいから一緒に行こう、とかいう誘いだし」
「いっそ告白してくりゃまだわかるのにねえ」
「さっきの三嶋くんなんて絶対私の存在すら知らないはずなのに、何だろう」
やたら最近続いた校庭へのお誘い。もちろんそんなもの受ける気はなかった。私は神崎以外の人と校庭になんか行きたくないのだ。
……そう、本来なら、神崎と行きたかった。
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