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私はほっとして微笑んだ。神崎とこうやってどうでもいい会話をするの、何だかすごく久しぶり。神崎が死ぬ予知を見てからずっとまともに話していない。
心が温かくなると同時に複雑な思いも抱いた。多分神崎はもう私をただの友達としか見ていないんだ。告白なんてするのはやめたに違いない。それでも友達として話しかけてくれるのは彼の優しさ。
こんな展開を望んでいたはずなのに、胸の奥底で寂しさが襲っているのは何故だろうか。
矛盾してる。神崎が私を諦めたことを、私は悲しんでいる。
友達である神崎が話を続けた。
「さっき野外ステージでやってたダンスパフォーマンスすごかったよ、七瀬見た?」
「え、見てない」
「歓声がヤバかった」
「そうなんだ、見に行けばよかったなあ。美里と回ってたんだけど、野外ステージはいってなくて」
「そういえば桑田は?」
「彼氏が来てるから少しだけ会ってくるって。行っておいでって私が言ったの」
「あー他校の彼氏っていつだったか言ってたっけ。俺嘘かと思ってたわ」
「あはは! ひどい」
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