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「あ、ご、ごめん突然……美里もあとで合流するんだけど」
「あー別に全然いいけど。お前ら仲直りしたの?」
「え」
「よかったじゃん。まあ隼人と喧嘩なんかずっとしてられねえよな。あいつ絶対すぐ謝ってくるタイプだろうし」
そう遠山くんは笑いながら言った。
……うん、ほんとそう。
神崎は何も悪くないのに、あんな態度を取った私に対しても気遣って声をかけてくれる。神崎はあまりにいい人すぎるんだよ。
少しため息をついて先を歩く神崎を追いかけようとしたところだった。一人廊下を歩いていた彼に女生徒が何かを話しかけた。巻き髪の大人っぽい人で、Tシャツには三年の文字があったので先輩らしい。
「あ、隼人ー!」
「ん? あーこんにちは!」
「会えないかと思ってたよ! クラス何やってたんだっけ」
「うちは巨大迷路です」
「あー行った行った! めちゃくちゃ迷子になったよ私ー」
神崎は笑って対応する。何となくその場で足を止めた。二人に近づかないようにしてその場から見守る。随分親しそうな感じが見てわかった。
先輩は神崎に笑顔で話していた。神崎もそれに答えて笑いかける。そして二人は少しした後、横に並んだ。先輩はポケットからスマホを持ち出すと、それを構えて神崎と写真を撮りだしたのだ。
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