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ピタリと肩をつけ、距離なく並ぶ二人は仲睦まじく見える。黙ってその光景を見ていた私はぐ、と息を呑んだ。
……誰だろう。
神崎は部活なんて入ってないのに、先輩の知り合いだなんて。綺麗な人だし、随分仲がよさそうだけど……あんなにくっついてツーショット写真なんて。
「あれー誰かなーあの人ー?」
隣にいる遠山くんがどこかわざとらしく言った。私はそんなセリフに返事をすることもできず黙った。私も知りたい、と思う。仲の良さそうなあの人が、一体神崎とどんな関係にあるのか気になってしまう。
二人は写真を撮り終え離れる。ホッとしたのも束の間、撮り終えた写真をチェックした先輩は不満げに何か言ってまた笑いながら神崎の横にピタリとくっつき写真を撮り出した。さっきより距離が近いように見える。再び自分の胸がぎゅうっと痛くなるのを感じた。
……もし私が前の告白を受けていれたなら、神崎に聞けるのに。
あの人は誰、どんな関係なの、って。でも今、ただのクラスメイトになってしまった私に聞く勇気はない。そんな関係になるように仕向けたのは私だ。……私なんだ。
「隼人は結構モテるからなーまあ納得だけど。後輩先輩問わず知り合い多いしな。あいつすぐ友達になるし」
「そ、うだね……」
「よく二年も連続で体育館組だと思うわ。あいつその気になればすぐ校庭組になれるだろうに」
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